さて、先日お話した護津家の当主である護津乾一さまがご来島なさっているということについてなのですが、明日お立ちになられるとのことですので、いくつかインタビュー形式でお尋ねしてみたいと思っています。
夢乃庵(以下・夢):こんにちは。いくつかお伺いしてもよろしいですか……?
乾一さま(以下・乾):ああ、構わないよ。
夢:今回は何をお調べになっていたのでしょうか?
乾:今回はねぇ、祠の謎を中心に、廃墟となっていた民家やあちらこちらにある石を調べてたんだよ。知っていたかい?ほら、やや大きなこのぐらいの……(ざっと直径50センチ程の円を手で宙に描きながら)そうそう、そのくらいの中にすっぽり入りそうなサイズの石が置いてあったろう?あすこに刻まれたものの謎を追ってみたり、ね。
夢:なにか収穫はあったのでしょうか。
乾:はは、ずいぶん直球だな。そうだねぇ、祠の方はもはや何かの意図さえ感じるほど何も手がかりはなかったよ。でもねぇ、面白いことに、この島の伝説は出尽くしたかと思っていたら、まだあることが分かったよ。どこかで途切れてしまった伝説だね、きっと。君が数年前に最後の代の方が亡くなってしまったと言っていた家におじゃましたんだよ。なに?家探しは良くない??……面白ければいいじゃないか。とにかく、見つけたかもしれない。この島に、鬼に関わる伝説があった可能性を。どうだい?驚いたろう。あの家にしか伝わってなかったのかもしれないな。今いる人々にも聞いて回ったけれどからきし知っている人には出くわさないんだよ、はははははは。面白くなりそうだ。もういいかい?続きに戻りたいんだが……。
夢:貴重なお話をありがとうございました。
乾:ああ。面白いだろう?……また来るよ。これはまだまだ死ねそうにないわ、ははは、はは。
キラキラと子供のように瞳を輝かせて語り倒すと早足でお部屋の方へ帰ってゆかれました。とても面白い方で、なおかつ研究熱心なので好感が持てます。
乾一さま、またのご来島をお待ちしております。
2003年6月24日追記。
あれから結局乾一さまは1度もご来島なさることなく21日にお亡くなりになりました。享年87歳でした。
心より、ご冥福をお祈り致します。
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